科学者が、論理整合性を堅持するために書く論文に比して、一般の素人向けの書籍は、著者の肩の力が抜けた分、その人となりが見えてきて、面白いことがあります。例えば、福岡 伸一著の「生物と無生物のあいだ」などは、(顔写真とは似つかわしくもない?)美文に読み耽ってしまったりもします(爆)。
同様に、リン・マーギュリス女史の「共生生命体の30億年」の出だし部分も、文章から垣間見れる私生活場面ではオマセで一途で悩み多い出会いと結婚や、息子との自説をめぐる応答の中に、人物像と研究者としての原点が見えてきて、ちょと好感が持てたりします(笑)。でも読み進むと、やっぱり奥付の写真のように、顔は微笑んでいるけど腕を組んで攻撃的ないかり肩が見えてきたりもします(爆)。
一般に認知されつつある共生説との違いや、自説に都合の良い概念や状況証拠(?)が展開されていますので、その内容を紹介したいと思います。
■1世紀を経て、その検証の時期を迎えた、という「共生説」
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◆共生:1873年/アントン・ド=バリは、「異なる名称をもつ生物が一緒に暮らすこと」と定義した。
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◆共生発生:ロシアのコンスタンティン・メレシコフスキー(1855~1921)が提唱した概念。
(*共存が長期にわたると、場合によっては、新しい体や器官や種が出現するという共生発生が起こる、というもの。)
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ということですから、まさしく、100年以上を経て検証の時期にあるといえるでしょう。
■連続細胞内共生(SET)説:リン・マーギュリス
「連続」という言葉は、一運の合体に順序があることを指しており、「共生発生が真核細胞の起源である」というマーギュリスの説は、四つの過程があります。そして、その四つにはすベて細菌が関係する、といいます。その慨念のあらましとは、
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◆発酵性「古細菌」と呼ばれ、硫黄と熱を好むタイプの細菌が、遊走性の細菌と一緒になり、一体化して、動植物や菌類の細胞の祖先細胞の基本となる核を含む細胞質を構成した。この原初の遊走性プロチスト[狭義の原生生物で、多くは単細胞]は嫌気性である。
◆有糸分裂をするようになった遊走性のプロチストに別のタイプの自由生活微生物である酸素呼吸細菌が組み込まれた。この酸素呼吸性の三者(好熱好酸菌、遊走性細菌、酸素呼吸細菌)の複合体は、微粒子状の食物をのみこめるようになったので、大きくて複雑な細胞が生まれた。〔約20億年前:遊走能と酸素呼吸能をもつ真核細胞の登場〕
この第二の合併体、すなわち酸素呼吸能を獲得した遊走性の嫌気性菌は、三つの構成要素をもち、大気中に蓄積した酸素に対処できる細胞になった。小さな遊走性細菌と耐酸性や耐熱性の嫌気性菌と酸素呼吸細菌の三つからできたこの細胞から、数々の動植物が生まれることになる。
◆複合細胞が生まれた一連の合体の終わりに、真核細胞のうちのあるものが緑色の光合成細菌をのみこみ、消化しそこなって(=細胞内での闘いのすえに)体内に残した緑色細菌は葉緑体になった。つまり、日光を好み光合成ができる緑色細菌が第四のパートナーとして完全に一体化した。
この最後の合体で生まれた遊走性の緑藻が、今日の植物の祖先である。
真核細胞の細胞質にある遺伝子は「裸の遺伝子」ではなく、細菌の遺伝子に由来するという考えで、細胞の基本となる細胞質は核も含めて嫌気性細菌の子孫だとする。
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マーギュリスは、連続細胞内共生説(SET)が主張する四つのうちの三つまでを同定できる、としています。つまり、
◆ステップ1):細胞の基本となる細胞質は核も含めて嫌気性細菌のものであり、
とくにタンパク質をつくる代謝の大半は、好熱好酸性細菌に由来する。
◆ステップ2):『?』
◆ステップ3):真核細胞内で酸素呼吸をするミトコンドリアは、「紅色細菌」あるいは
「プロテオバクテリア」と呼ばれている細菌が共生したものだ。
◆ステップ4):葉緑体その他の色素体は、かつては光合成シアノバクテリアだった。