さて、いよいよ「男(オス)と女(メス)があるのはなんでだろう?」の三発目。これを今年最後のエントリーとして、来年を迎えたいと思う。
■オス・メス分化した生物にとって「老化」「死」は重要な適応戦略である
もう一つ不思議なことは、有性生殖を行う生物に必ず「老化」と「死」が存在するってことだ。
「そんなんあたりまえやん」と思われるかもしれへんが、地球上の生物が老化して死ぬようになったのは、実は生命が誕生してから10億年以上経ってからのこと。有性生殖をする生物が適応のために、新たに獲得した機能が「老化」と「死」という性質だったのだ。そんな厄介なもんわ~ざわざ獲得せんでも…と思うが、実は理由がある。
分裂増殖(無性生殖)を行う生物は(究極的な栄養不足や生命維持の物理的な限界を超える環境に置かれることがもしなければ、という仮定においてだが)、実質的に不死だ(厳密に検証するとそうではない可能性があるが…)。それに対して、有性生殖をする生物は、例外なくプログラムされた「死」を持っている。
http://moer.but.jp/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=26202
しかも、まかり間違って生き長らえることがないように、「アポトーシス」と「アポビオーシス(寿死)」(参照:http://www.sun-inet.or.jp/~lavender/med3.htm)によって、生物は必ず死ねるように二重にプログラムされている。
有性生殖をする高等生物のほとんどは2倍体である(ディプロイド:ゲノム=その生物の染色体の必要情報 を2セット持っている)。ここに「性」のシステムのもう一つの利点がある。2倍体だと、片親からの遺伝子に欠陥があったとしても、もう片親からの遺伝子で生態機能が補えれば、変異が個体の死に直結しなくて済むわけだ。そして、その変異を蓄積することも可能になる。要するに、保険を1セット持っておくことで、生きる可能性も変異を蓄積する可能性も拡がるってわけや^^)。
逆に、両方の親からたまたま同じ致命的な欠陥を受け継いでしまえば、個体が生殖年齢までに死に至るため、その欠陥因子は次世代に引き継がれなくて済むわいな。生物集団内で、そういった不適応因子の割合は低く保たれるってわけだ(そう考えると、死にも立派な意味があるってこと)。逆に捉えるとこれは、世代交代により、適応因子はより速く生物集団内に広がるようになっているわけだ。
その生物が生きている間に受けるリアルタイムの外圧への適応を精一杯試みた個体は、一つの実現体だ。そして生殖をすませた個体は、その生息域に永遠にのさばるようなことは決してない。必ず自ら老化し死ぬことによって次の適応の可能性を持つ次世代に生存の場を譲りわたしていく。そうやって「群れ」という単位で適応してきたのだ。
なんかすごいことだ。あたりまえと言ってしまえばあたりまえのことなんだが、ある種、感動があると思わへん? 個人主義思想なんて、この生命の営みの前にはなんとチンケなことか…
というわけで、下(続き)に要点をまとめてみた。その前に…
↓来年もよろしくお願いします。
