2010年08月14日
セミに異変???夜に鳴く「夜ゼミ」

最近、夜寝ていて気がついたんです。セミが鳴いている…。
気がつくのが遅いかもしれませんが(汗)
蝉が夜なくなんてことは、これまでなかったはずです。なんかオカシイ。
ということで、昨年の素数ゼミに続くセミ第二弾。「夜ゼミ」
その前に
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セミが夜鳴くのは10年ほど前から
ネットで検索してみると、大阪だけでなく東京や埼玉でも見られる現象のようです。ある研究者の方によれば10年ぐらい前から起きている現象らしいのです。
普通セミは昼に鳴くもの。しかし都心部に住んでいる人ならセミの声を夜間に聞く機会も多いはず。この「夜にセミが鳴く現象」について、セミの生態学に詳しい埼玉大学の林正美(まさみ)教授によれは、この現象は都心を中心に10年くらい前から指摘され始めており、特にここ4、5年はその傾向が強まっているとのことである。(Garbagenews.comより)
セミが夜鳴くのは昼間と勘違いしているから?
ではなぜ夜間にセミが鳴くのか。林教授によればその理由は大きく二つあるとのこと。一つは「夜の気温が高いから」。セミは24~26度の気温で良く鳴くのだが、最近は25度を下回らない熱帯夜が増える傾向にある。これがセミを夜鳴かせる一因なのだという。(Garbagenews.comより)
そしてもう一つは「街灯などで夜でも明るいから」。ネオンや街灯などで明るい場所が多い都心部では、夜間でも昼間に近い明るさにある場所が多い。これがもう一つの要因。「暑く明るい」。この条件が整っているので、ニイニイゼミやアブラゼミなどは昼間と勘違いして鳴くのではないとしている。
ちなみに大阪では東京と同じように「暑く明るい」条件が揃っているが、東京ほど夜間のセミは聞かれないという。これについては、大阪地域ではニイニイゼミやアブラゼミはあまり生息しておらず、クマゼミがほとんどであり、クマゼミは夜にはほとんど鳴かないからだとのこと。
ネットを検索すると、上記と同じ内容となっています。「夜鳴くセミ」は小学校四年生の国語の教科書にも紹介され、そこでも同じ理由で夜鳴くとされています。
しかし、昼に適応した昆虫が、簡単に夜の活動に移行できるのでしょうか。
そこで、調べてみると、興味深い事実がみつかりました。
バンコクのセミは夜に鳴く!
タイ・バンコクのセミは昼鳴くことはないそうです。タイ人に「日本では昼に鳴く」と説明するとタイ人は「それは、蝉ではない!」と返されるそうです。(女社長のバンコク奮闘記より)
バンコクでは蝉が夜鳴くのは常識のようです。やはり、気温が高いとセミは昼よりも夜鳴くようになるのでしょうか。
しかし、気温が高いといっても、大阪と熱帯地方のバンコクが近い状況なのか?
そこで、タイと大阪の気温を調べて見ました。
大阪や東京の気候は、タイに近づいている。
タイ・バンコクの夏は4月。月間平均気温は30.3度、平均最高気温38.1度、平均最低気温24.0度、平均湿度72%。(2008年データ:在タイ日本国大使館より)
一方、大阪は8月の月間平均気温が28.0~29.9度、日最高気温35.0度、日最低気温24.7度、月平均湿度63~64%となっています(2005~2009年、気象庁より)。日本の都市部ではヒートアイランド現象で、モンスーン気候のバンコクの夏と気温や湿度は変わらなくなっています。
そうなると、今後都市部のヒートアイランド化が進むと、日本のセミももっと夜に鳴くようになるということになります。
でも、それはセミが今後“勘違い”し続けるということ?
タイの蝉に至っては暑過ぎて完全夜型に適応してしまったのでしょうか。
ここで、発想を変えてみます。
セミは元々、熱帯地方の昆虫です。そうなると、タイにいるセミの姿の方が本来なのでは?
セミの先祖は夜行性

セミという昆虫は形態学上はカメムシ目(上記写真)に分類されています。ストローのような口で植物の蜜を吸う動物の一群が彼らの仲間です。

画像を拡大して見る
(画像はJT生命誌研究館よりお借りしました)
進化系統樹上もカメムシの子孫にあたります。そのカメムシは今でも夜行性です。セミも元々はカメムシと同様、夜行性だった可能性が高いと思われます。夜行性ゆえに、鳴くことでメスを呼び寄せるという行動様式もしっくりきます。夜なら天敵である鳥類にも捕まらない。
つまり、現在見られる蝉たちは、元々は夜鳴いていて、熱帯地方から各地に拡散し、寒冷地適応する過程で昼型に移行していったのではないでしょうか。
- by kumana
- at 23:45
comments
確かに、最近蝉が夜鳴いていました。子供の頃は、午前中から鳴き始め、暑い午後に猛烈なせみ時雨となり、夕方カナカナ蝉が鳴いて終わるという流れでした。
仮説面白いのですが、蝉の起源はどうなっているのでしょう。熱帯地方が起源なのでしょうか?
夜鳴くセミの理由は、何だろう?と思ってワクワクしながら読みすすめていました!
セミの祖先にまで話が及び一段深い分析だったので、びっくりです!!
セミの祖先は、カメムシだったのですね!!
そう考えると、夜鳴く理由もさらに納得です☆
>AYOAN IGOKAHさん
蝉の起源は、温暖期の中緯度地域です。
発生の時期は、化石からすると今から約1億3千万年前頃、白亜紀前期です。恐竜時代の末期です。化石の発見場所は、ブラジルのほか中国の遼寧省(日本の東北地方と同緯度)もあり、熱帯起源?と思ってしまいます。
しかし、その時代はパンゲア大陸が分裂していく大陸大移動期で、火山活動が活発だった時期です。地球の温度は今より平均で10~15度高く、極地方にも恐竜が生息していたほどです。
東京や大阪の年間平均気温が16度台で、バンコクのが28度台で、その差12度。気温で単純に見れば、日本のような中緯度地域が熱帯地方と同等になります。
したがって、蝉の起源(発生)は温暖期の中緯度地域で、地球の寒冷化とともに低緯度地域に移動してきたということになります。
>さんぽ☆さん
昆虫は適応力が高く、様々な環境に適応しているので、紐解くには難しい題材です。おまけに化石が少ないというか、あまり注目されていません。
ちょっと深入りし過ぎて、途中でどうなることかと思いました(笑)。今回は、バンコクの蝉の例から仮説を立ててみました。
面白い記事ですね。ついつい引き込まれてしまいました。
1つ質問!
記事にも少し述べられていますが、夜行性か昼行性かは、主に何によって決められているのでしょうか。地球のエネルギー源は太陽だから、基本的には昼行性をどの生物も目指すような気がするのですが・・生物によっても違うかもしれませんが、夜行性を選択する主要因はなんでしょうか?
セミが鳴くのは生殖のため(つがいを形成するため)なので、種によるのでは?
昼夜両用の哺乳類さんへ
>夜行性か昼行性かは、主に何によって決められているのでしょうか。
弱者か強者かによって決まると思います。
元々生命は深海の暗闇で生まれました。その後、種間闘争の過程で、弱者がリスク(自然外圧)が大きいニッチへと進出します。その先に、太陽や酸素といった、生命にとって有害となる環境に辛うじて適応した種が生き残り、進化していきます。
太陽や酸素の環境を得た生物は、その高活性に適応し、繁栄します。更なる種間闘争が生まれ、そこでの敗者は、ニッチを求め太陽エネルギーの少ない寒冷地や水の少ない乾燥地へ決死行を試み、辛うじて適応した種が生き残り、また進化していきます。
そのようなニッチのひとつが夜行性です。昆虫の天敵は、当初は両生類です。彼らは変温動物なので、基本は昼光性です。そこから逃れるために夜行性の獲得は有効だったと思われます。食性が、夜でも捕食できる植物食なので、比較的適応しやすかったとも思われます。
「植物食で、ニッチとしての夜の生活に逃げた」ということで、夜行性は弱者だから、ということになるでしょう。
雅無乱さんへ
>セミが鳴くのは生殖のため(つがいを形成するため)なので、種によるのでは?
おっしゃるように、昼光性か夜行性か、あるいは昼鳴くか夜鳴くかは、種の単位で同一でなければ繁殖できずに絶滅してしまいます。
ここでは、種による違いがどうして生じたか(どういう原理で適応しているのか)が解明したいところです。少なくとも、日本の蝉もタイの蝉も元はつながっているわけですから。
蝉が夜鳴いているのに、気がついたのは、30年ほど前です。しかも、四国、松山です。大都会ではありません。ネオンの傍で、ニイニイゼミが良く鳴いていました。夜のネオンに、人間だけでなく、セミまで狂いってしまったか、と、悲しい思いをしたことを覚えています。