2010年01月29日
オスとメスの違いって何?(3)~性染色体で性決定するのはなんで?~
前回(オスとメスの違いって何?(2)~性決定因子の働きがオスとメスを分ける~)では、
1)雌雄同体型
2)性転換型
3)孵化時環境決定型
について見てきました。今回は、
4)遺伝子決定型
について考えてみます。それを考えるに当たっては、「そもそも、オスとメスに分化したのは、何で?」を考える必要がありそうです。先ずは、そのことを鮮明にしている投稿を紹介します。
◆「オスメス分化の塗り重ね構造」 より)
多細胞動物の生殖系の進化のステップは、3段階。
Ⅰ 保存と仕事の分化(殖・産分化)
Ⅱ 精卵分化
Ⅲ 雌雄躯体分化Ⅰ 保存と仕事の分化(殖・産分化)
・真核倍数体生物は、保存(減数分裂システム:生殖細胞)と仕事(単純分裂システム:体細胞)へと機能を分化。これが多細胞化の起点。
・種の保存上、最も負担の大きい生殖を専門に分離することによって、体細胞系列を高度に機能分化させていくことも可能となった。(中略)Ⅱ 精卵分化
・精子と卵子に配偶子が分かれたのは、運動と栄養の役割分担により、受精過程(出会い)と発生過程(エネルギーを要する)の両方に適応的な形態への分化。
(*精子と卵子に配偶子が分化したのはなんで?)・さらに、受精卵の中心体が精子由来であること、その中心体は変異活性度が高いこと、またオスのみに存在する抗原タンパク質(HY抗原)の存在等を考え合わせると、精子が外圧変化に対応した何らかの変異情報を媒介している可能性が高い。(なお、中心体が独自の遺伝情報を持っているか否かは不明であるが、近年の研究ではその可能性が示唆されている)
・このように考えると、精卵分化の本質は、精子:変異配偶子と卵子:保存配偶子への分化であることが見えてくる。変異と保存の分化、これがオスメス分化の原基となる。
・これは、変異+不変の組み合わせによる、生物的に安定な生殖システムとも言える。
(*生物史から学ぶ『安定』と『硬直』の違い)
Ⅲ 雌雄躯体分化
・動物の場合、精卵分化から、雌雄の躯体が固定的に分かれるようになるまで、かなり長い歴史がある。脊椎動物の系統でも魚類の段階まで、雌雄同体と雌雄異体が併存。
(*脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い)・雌雄の躯体が分化していく背景には、摂取機能の高度化⇒種間圧力上昇・・・という循環的な外圧上昇構造が前提にある。
・体細胞系列の高度化の要請と同時に、各々の配偶子、生殖巣、生殖器etcを緻密につくりあげるためには、精子をつくる躯体(オス)と卵子をつくる躯体(メス)を分化させたほうが合理的。
・また、動物ゆえの種間圧力⇒摂取能力高度化・・・に対応するため、幼体保護と防衛力上昇の要請が加わる。これは必然的に(保存性に特化した卵子を持つ)メスの生殖負担の増大、そして、それとバランスするようにオスの闘争負担が増大させる方向へつながる。これは脊椎動物の進化史とも符合する。
・これらにより、動物の雌雄の躯体は分化していったと考えられる。★オスとは何か? メスとは何か?
・変異性の上に、闘争能力(役割)が塗り重ねられた存在=オス
・保存性の上に、生殖能力(役割)が塗り重ねられた存在=メス生物数十億年の歴史のなかで、外圧に適応していくために、役割分担と調和が塗り重ねられてきた、それがオスとメスの分化。オスという役割(存在)、メスという役割(存在)があわさってはじめて、外圧に適応的たり得たし、種をつなぐこともできたのである。(「オスメス分化の塗り重ね構造」 より)
これこそが、
性染色体で性決定するのはなんで?
の答えと云えそうです。
----------------------------------------
ところが、鳥類ではそんなことにはなっていないらしい(「鳥類の性決定(1) 」)。次回は、その辺を「XY型遺伝子とWZ型遺伝子との違い」をみていくことで考えてみたいと思います。
by びん
- by member
- at 23:14


comments
遺伝子決定型を獲得したころの鳥類と哺乳類の立場上の違いなんかも知りたいところです。
おそらく鳥類は軽量化のために多産多死に出来ないのでWZ型にしかならなかったとか、
哺乳類はXY型と多産多死によって選別のために天敵を利用したのではないかと思います。
若しXY型よりWZ型の方が優れているのなら、
地上に降りる鳥類ももっと多かったのではないか、
ネコが地位の割に多産多死なのもその辺に理由があるのか、
ネコの病気は人間の病気より怖いものが多いのですが、天敵を失ったからなのか。
そうだとすると天敵を失った人間はますます病弱になるのか、
など、とても気になって頭から離れなくなってしまいました。