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2008年10月07日

変異転写の仕組み(仮説の中間整理)

性染色体・性決定因子のそもそもの役割って何?
変異転写を担っている可能性が高いのでは?

という問題意識でこの間調べてきたことを中間整理してみます。
200px-TATA-binding_protein%5B1%5D.png
<DNA(赤色)に結合する転写因子(青色):ウィキペディアより引用>


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基礎調査
・ヒトの場合、23対の染色体のうちの1対が性染色体。22対は雌雄で同じもの(XX)だが、残りの1対は、女性ではXX、男性ではXYとなっている。(狭義にはY染色体が性染色体。)
chromo%5B1%5D.gif
リンクより引用>

・Y染色体にはSRY遺伝子と言う性決定遺伝子が含まれており、これが男性の精巣形成および精巣で作られた男性ホルモンによる男性器形成に関わっている。
・SRY遺伝子からSRYタンパクがつくられるが、SRYタンパクそのものは、精巣などの生殖器を直接作るわけではない。SRYタンパクが他の遺伝子に結合することで、様々な遺伝子や因子(Sox9、SF1、M33、DAX-1、WNT4等)が活性化し、精巣などがつくられていく。SRY遺伝子はまさに起動スイッチの役割をしている。<リンク参照>
1hry_a%5B1%5D.gif
<ヒトのSRY-DNA複合体構造例1hry:リンクより引用>


仮説
Y染色体上にあるSRY遺伝子が、性決定のスイッチの役割をしているところからみて、性染色体・性決定因子のそもそもの役割は、変異転写を担っている可能性が高い。メスが安定、オスが変異を担うという雌雄分化の原理から考えると、オス由来の性染色体・性決定因子が性分化を決定づけているという事実は、性染色体・性決定因子の中に変異転写の仕組みが組み込まれている可能性を示唆している。

以上のような見通しのもとに、変異転写の仕組みの仮説をたててみる。

①外圧変化のキャッチ

外圧変化(栄養状態(細胞質濃度)、温度、Ph、ストレス等)→細胞質で何らかの変異(タンパク質が壊れる等)が起こる→変異情報がシグナルとなってHMGタンパク質が合成される。
※この時、「小さなRNA」が変異情報をキャッチし、従来のタンパク質形成にストップをかけ、新たにHMGタンパク質を形成する司令塔の役割を担っている可能性がある。
小さなRNAの多様なはたらき参照>

②体細胞の変異

HMGタンパク質が核へ移動し、Y染色体上にあるSRY遺伝子を組換える。(HMGタンパク質は、他のDNAにもくっつき、アルツハイマー等のいろんな突然変異を引き起こすスイッチとなる。)
変異転写を促すHMGタンパク質参照>(リンク参照)
※HMGタンパク質が核へ移動するのは、核内輸送受容体(トランスポーチン)によるタンパク質輸送メカニズムによる。
リンク参照>

③生殖細胞の変異

SRY遺伝子からつくられるSRYタンパクが転写因子となって、精子→受精卵→精巣に変異情報が伝えられる。
※精巣形成には、SRY遺伝子以外にも様々な遺伝子が関わっているが、多くの精巣形成に必要な遺伝子にはSRY結合部位があり、この部位にSRYタンパクが結合することで、精巣形成への発達が始まる。
リンク参照>
※この時、「小さなRNA」がSRY遺伝子の発現とその他の遺伝子の発現抑止を制御している可能性もある。




補足
HMGタンパク質がどのように合成されるかは謎であるが、ここでは、「小さなRNA」がその司令塔の役割を担っているという仮説に立つ。(通常の「DNA→RNA→タンパク質」というセントラルドグマに沿った経路では、DNAが司令塔役という論理になるため、変異転写を担うHMGタンパク質がどのようにしてつくられるかの説明がしづらい。DNAが司令塔役とした場合、外圧変化に適応する変異情報は予めDNAの遺伝子配列上に存在することになり、DNAが変異してゆくことが説明しにくい。変異情報は「RNA→タンパク質→DNAに逆転写」されると考えた方が素直。)
・もし、上記の仮説が立証されれば、セントラルドグマは、文字通り事実に反するドグマであるということになる。

・上記仮説は、①→②の体細胞で起こった変異が、③の精子形成過程に伝えられるということを前提にしている。精原細胞から精子がつくられる過程で体細胞の変異情報が伝えられ、その変異情報を組み込んだ精子が受精することによって、親(父)とは違う子の精巣が形成されると考える。(減数分裂(1個の精原細胞から4個の精子形成)の時の遺伝子組み換えの際に、その変異情報が反映される。)


残課題
★HMGタンパク質はどのようにして合成されるのか?
★「小さなRNA」の変異転写における役割と仕組み?
(「小さなRNA」は、HMGタンパク質をつくりだすだけでなく、トランスポゾン(DNAの切れ端、動く遺伝子)がDNAへの逆転写因子(変異を促進する因子)として働くよう制御しているのでは?そのようにして、SRY遺伝子やその他の関連遺伝子の制御にも関わっているのでは?)
★体細胞の変異情報は生殖細胞(精子)にどのように伝えられるのか?
(精子の育て役と言われるセルトリ細胞がその役割を担っているのでは?)

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comments

> Y染色体上にあるSRY遺伝子が、性決定のスイッチの役割をしている

と書かれていますが、本当でしょうか?
雌雄分化が促進されてきた経緯は、あくまで進化段階に応じたものであり、北村氏(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=169622)の投稿を引用するならば、

> ①共通の性腺から、精巣・卵巣各々を作る指令を行なう遺伝子が発動する段階。
> ②雄性、雌性のホルモン分泌によって体細胞の機能が変化し、雌雄の体細胞が差別化される段階。
> ③脳の神経細胞の差別化が促進される段階。

の三段階があったのではないか、とされています。
わたしも性決定は、SRYなど単一の遺伝子に還元できるものではなく、遺伝子の協働によって実現しているのではないかと考えています。

いかがでしょうか?

  • blogger0
  • 2008年10月08日 22:57

もちろん、性決定に関わる遺伝子はSRY遺伝子だけではないでしょう。単一の遺伝子に還元できるような説は前提にしていません。未だ発見されていないだけで、他にもあるでしょうし、性決定は様々な遺伝子の協働によって実現されると考えるのが素直でしょう。

  • fkmild
  • 2008年10月09日 00:54

> もちろん、性決定に関わる遺伝子はSRY遺伝子だけではないでしょう。単一の遺伝子に還元できるような説は前提にしていません。

了解しました。
ところで、変異転写を担っているのは、SRYタンパク質だけなのですか?
もしそうだとしたら、命題の立て方→仮説は理解できるのですが、外圧の変化をDNA変異として組み込む仕組みはこれだけとは考えにくいのではないでしょうか。

  • blogger0
  • 2008年10月09日 13:45

おそらく、変異転写を担っているのもSRY遺伝子だけではないでしょう。他にもHMGタンパク質が変異転写を担っていることが分かっています。どのようにして外圧変化をDNA変異として組み込むのか?の全体像を把握するのが追求課題ですね。

  • fkmild
  • 2008年10月13日 20:21
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