2008年09月30日
RNAと酵素タンパク質の協働作業2~tRNAとアミノアシル化酵素~
zakkyさんに引き続き酵素とRNAの協同作業について御送りいたします。今回は、アミノアシル化酵素について追求してきます。
アミノアシル化酵素は、
とある様にtRNAとアミノ酸を結びつける為には欠かせない酵素です。と同時にかなり古い酵素としても知られているようです。
古い酵素であるという事もあって、このアミノアシル化酵素の研究を行っている研究者も少なくないようですが、興味深い事が分かってきました。
さて、現在の蛋白質合成で重要な役割を果たすのは、
①mRNA,
②tRNA,
③リボソーム(タンパク質+rRNA)
です。このtRNAにアミノ酸をくっつける役割を果たしているのがアミノアシル化酵素なので、この酵素もかなり重要な働きをしています。実は、この事はRNAワールドを考える上でも重要です。RNAワールドが成立する為には、タンパク質無しでタンパク質合成が出来る必要があります。
主要なタンパク質合成経路の中で必要なタンパク質は、タンパク質とrRNAの複合体であるリボソームと
DNA記号からアミノ酸への翻訳が正常に行われるためには、20種類のアミノ酸の各々が、そのアミノ酸専用のtRNAと正しく結びついていなければなりません。それを実現しているのが「アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)」とよばれる20種類の酵素です。各々のaaRSがひとつのアミノ酸を担当しており、適切なアミノ酸とtRNAのペアを高い精度で選び出して結合させます。遺伝暗号の正確な翻訳、つまり正常なタンパク質合成は、aaRSによるアミノ酸とtRNAの厳密な対応づけに大きく依存しているのです。
とあるように、tRNAにアミノ酸をくっつける役割を果たすアミノアシル化酵素です。
最近の研究の成果では、rRNAがアミノ酸同士のペプチド結合を触媒するリボザイム(酵素として働くRNA)という事が分かってきました。
という事は、仮にtRNAがアミノアシル化酵素の力を借りずにアミノ酸と結合できれば、RNAのみでもタンパク質合成が可能である。という事が言えるのです。
また、アミノアシル化酵素は、生命の歴史上最も古くから存在しているタンパク質と考えられていますので、その意味からもtRNAとアミノアシル化酵素との協同作業を追求すれば原始生物の仕組も見えて来る!?というわけです。
研究の結果、近年明らかになって来た事は、
いくつかのaaRSには原始的ともいえる特徴がみられます。20種類のaaRSのうち、グルタミン酸に対応する合成酵素を「グルタミルtRNA合成酵素(GluRS)」とよびます。GluRSはグルタミン酸を厳密に認識し、専用のtRNAに結合させる反応を触媒します。興味深いことに、GluRSはタンパク質単独では触媒能力を示しません。また、アミノ酸の識別能力がなく、不都合なことにグルタミン酸以外の類似のアミノ酸とも会合してしまいます。ところが、GluRSはtRNAと会合することによって活性型となり、厳密にグルタミン酸だけを認識できるようになることが知られていました。このことから、tRNAは単に基質としてだけでなく、GluRSと会合することによってタンパク質の構造を変化させる活性化因子としても働き、厳密なアミノ酸認識を可能にしているのではないかという仮説が提唱されました。別の表現をすると、GluRSとtRNAはタンパク質-RNA複合体となってはじめて機能する一種のリボ核タンパク質(RNP)と見なす事が出来ます。
GluRSのように機能の一部をRNAに依存しているaaRSは、GluRSを含めて3種類しかありません。これは生命の起源においてRNA(ないしRNP)がタンパク質合成の主役をつとめていたことの痕跡ととらえることもでき、RNA(やRNP)から多彩な機能をもったタンパク質へと分子の役割が移り変わってきた道筋を考えるうえでも重要な知見となるでしょう。

画像は、こちらからお借りしました。
という事です。つまり、
tRNAが結合する事で初めて酵素として働くアミノアシル化酵素が存在する。
という事が分かってきたのです。
この事は、引用したレポートでも述べている様に、
生命の起源に置いてRNA(RNP)がタンパク質合成の主役をつとめた痕跡ではないだろうか
という事にもつながってくるのではないでしょうか。
今後もアミノアシル化酵素やtRNAには注目していきたいと思います。
- by arinco
- at 22:00




comments
私の読解能力不足とも思いますが、「アミノアシル化酵素」と「RNAのみでのタンパク質合成の可能性」の繋がりが良く解りません。
現象事実として、tRNAはアミノアシル化酵素を利用して、アミノ酸を運搬しているのですよね?
それが、「rRNAがアミノ酸同士のペプチド結合を触媒するリボザイムであることが解ってきている」からと言って、「仮にtRNAがアミノアシル化酵素の力を借りずにアミノ酸と結合できれば、RNAのみでもタンパク質合成が可能である。」と仮説立てするのは、あまりに強引というか、現象事実と整合していないのではないですか?
その当たりの論理的アプローチをもう少し詳しく教えてください。
>最近の研究の成果では、rRNAがアミノ酸同士のペプチド結合を触媒するリボザイム(酵素として働くRNA)という事が分かってきました。
ということは、rRNAとtRNAだけでタンパク質が合成できる可能性がある、つまり、RNAワールド仮説を支持する根拠となり得るかもしれない、という理解でいいでしょうか?
仮にそうであるとすると、rRNAがアミノ酸同士のペプチド結合を触媒するリボザイムとして働くのは具体的にどのような過程においてなのでしょうか?現在わかっている過程ではtRNAとの共同作業は行われていない、ということでしょうか?
NISHI さん、コメントありがとうございます。
ご指摘の件ですが、元々の主旨は、
RNAからタンパク質を合成する中で、重要な働きをするタンパク質は、リボソームとアミノアシル化酵素である事が分かってきているらしいです。(これ自体も本当かどうかまだ調査不足なのですが・・・・)
その中でリボソームはrRNAが酵素として働いている。tRNAも最近の実験からかつてはリボザイムとしても働いていた可能性がある。だからtRNAがかつてリボザイムとして働いていた事が解明できれば、かつては、RNAのみでもタンパク質合成が可能だったという事が言えるのではないか?という主旨だったのですが、ご指摘の通り、強引であることは否めません。元々追求不足の感も否めませんので追求を進めつつ、再度組立て直したいと思います。
ご指摘ありがとうございました。
hadouさん、コメントありがとうございます。
投稿はそのような主旨で書いたのですが、NISHIさんのご指摘にもあった様に、強引さは否めませんので再度追求してきます。後半のご質問は、この記事を書いた時点では調査しきれていませんでした。引き続き調べていきたいと思っています。