2007年12月14日
精子の「成熟」過程
始めに基礎から押さえていきましょう
下の図を見ながら読んでください。(「精子の話」毛利秀雄著 岩波新書より引用)

画像は東海大学医学部附属病院泌尿器科HPよりお借りしました。
精子はオスの生殖輸管である精巣上体とそれに続く輸精管、更に射精後には雌の生殖輸管である膣、子宮、輸卵管の中で次第に運動能力や受精能を獲得していき、その運動パターンも変化していきます。大まかにいって、雄の生殖輸管内でおこる諸変化を精子の成熟、メスの生殖輸管内でおこる現象を受精能獲得(キャパシテーション)と呼びます。
動物によって期間は異なりますが、排精された精巣網から精巣上体に入り、その中を精巣上体の頭部から体部、尾部へと数日から10日間ぐらいかけてゆっくり移動して、射精までの間、尾部に留まります。こうして精巣上体を通過しながら成熟していくわけです。精巣上体は曲がりくねった細長い管からできていてその全長はヒトで6メートル以上にもなり、マウスでも1メートルはあるといいます。また種によっては射精前の精子は精巣上体ではなくその先の輸精管に貯えられますが、この場合には輸精管内でも成熟が継続します。
精子は精巣で形成され、その時点で潜在的には受精に必要な能力のいくらかは獲得しているようですが、「成熟」を経ないと一人前(?)に受精できるようにならないんですね~
さて、ここからいよいよ本題です
精巣上体を通過していく精子の表面には様々な変化が起こります。精子は形成された時点で既に表面に糖タンパク質などが付着していますが、精巣上体を通る中でそれらが失われたり、また新たなものが加わったりすることで、精子細胞膜の性質や機能を変化させていると考えられています。そしてそれらの変化を通じて精子は運動能や受精能を獲得していくわけです。
その中でも注目したいのが、精巣上体頭部の終わりから体部前半でのみ合成されている135kDaタンパク質というものです。これによって起こる精子表層の変化について『「精巣上体における哺乳動物精子の成熟」岡村直道氏』より引用します。
精巣上体頭部の未熟精子にはほとんど抗原. が見られないが、体部に移行するにつれて、 赤道帯に僅かに検出できるようになる。さらに下降するに従い、次第にその量が増し、体部後半では先体のすぐ後ろの部分に三日月状に局在化、濃縮されることが分かった。尾部の成熟精子の抗原はほとんどが同様の局在バターンを示し、さらに頭の先端部にも抗原が移動してくることが判明した。
この抗原が以前の記事で提起されていた仮説の抗原ですね。
今回紹介した精子表層の変化はDNAの変化ではありませんが、生物の進化には当然DNA変異だけではなく、このような変化も多分に影響を及ぼしているものと考えられます
- by hadou
- at 22:48





comments
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僕も精巣状態が鍵を握っているのでは?と思っています。免疫系からの情報を受け取って、タンパク質である抗原に転換され、精子表面に転写される。受精の時、精子表面のタンパク質を取り込み、受精や分裂を促すという構造になっているのだろうと思います。
そのタンパク質に外圧情報が転写される方法が知りたいですね。
それ以外になにか?外圧情報の精子転写はあるのだろうか調査課題ですね。
その中で、精子の中心体やミトコンドリアなどは、どのような役目になっているのだろうか?
また、排泄機能の前立腺と精嚢あたりは、影響がないのだろうか?つっこみどころかもしれません。
Y精子がX精子の1.5倍の有効精子数だという説がネットを検索すると出てきます。
論理的にはY精子とX精子は同数のはずですが、そのような偏りができる根拠についてはどこにも書かれていません。
これが「俗説」である、というページもありました。
実際のところどうなんですか?教えてください。