統合サイト るいネット
RANKING
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログへ
NEW ENTRIES
ARCHIVES


2007年08月13日

多細胞生物の急進化~カンブリア大爆発~

RNAからDNAへ、原核細胞から真核細胞へ、一倍体から二倍体へ、無性生殖から有性生殖へ、単細胞生物から群体、そして多細胞生物へ・・・。現在まで継承される生存様式の基礎をほぼ獲得した生命は、約5億4千万年前に急激な多様化を開始する。現存する全動物種の原型が全て出揃った進化史上の一大イベント=「カンブリア大爆発」。その進化に要した期間は、わずか数百万年~1500万年という。

どのようにしてカンブリア大爆発は準備され、始まったのか?最近の『Newton』から紹介してみる(以下、枠囲み中の文章は『Newton別冊 最初の生命から哺乳類まで 「生命」とは何か いかに進化してきたのか』からの抜粋引用です)。

カンブリアの生物たち(左から、アノマロカリス、ハルキゲニア、ウィワクシア、ピカイア)
anomalocaris.jpg hallucigenia.jpg wiwaxia.jpg pikaia.jpg


m118 いつものようにクリックをお願いしますよ m030
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログへ

◆大爆発の前兆:エディアカラ生物群

カンブリア大爆発の開始から遡ること3千万年前の地層、オーストラリアのエディアカラ丘陵から多細胞生物の化石の一群が発見された。「エディアカラ生物群」だ。現在のカイメン(海綿動物)やイソギンチャク(刺胞動物)、クラゲ(有櫛動物)の祖先にあたると考えられている彼らの特徴は・・・・。

エディアカラ生物群の化石はすべて軟体性で,殻はもちろん,足ももたず,歯もない。
エディアカラ生物群は謎が多く、植物か動物かも定まっていなかったが、辛うじて移動を行う軟体動物が存在した、ということはわかっている。そして、
エディアカラ生物群の化石にはいかなる捕食の痕跡も発見されていない。(中略)ある化石のそばには,泥をひっかいて集めた痕跡があり,このことから,エディアカラ生物群は泥の中の有機物を主食としていたと見られている。
エディアカラ生物群(左から、ディキンソニア、カルニオディスクス、トリブラキディウム、スプリギナ)
dickinsonia.jpg charniodiscus.jpg tribrachidium.jpg spiggina.jpg

◆硬組織の獲得

 「それは、当時の生物になにがあったのかを教えてくれる化石です。」と語るのは,遠藤一佳(かずよし)筑波大学準教授である。その化石とは,カンブリア爆発直前~初期の地層から発見された,大きさ1ミリメートルにも満たない微小な化石だと言う。1種類だけではなく,コイル状に渦巻いたものがあったり,クロワッサンのような形をしていたりする。「微小硬骨格化石群(Small Shelly Fossis:SSF)」とよばれる。どんな生物かはわからないが,多くは生物の一部を構成していた部品とされている。
 SSFを構成する化石は,主成分に注目すると大きく三つにわけられる。炭酸塩(炭素と酸素とカルシウム),リン酸塩(リンと酸とカルシウム),シリカ(ケイ素と酸素)だ。この三つの成分はそれぞれ,現在の生物の殻や骨,トゲなどの硬組織に使われている。具体的には二枚貝の貝殻やサンゴには炭酸塩,私たちヒトの骨にはリン酸塩,カイメンのトゲにシリカなどである。

◆眼の誕生が種間闘争を激化させた?

カンブリアの生物たちは体躯に硬い組織を獲得し、すばやく動きまわれるようになり、そして多細胞生物同志の“捕食”=種間闘争が本格化した。その契機になった出来事として、イギリス自然史博物館のアンドリュー・パーカー博士が提唱する『眼の誕生説』(光スイッチ説)が注目されているらしい。

 この仮説は次のようなものだ。―――カンブリア爆発の直前,SSFの出現よりも早い時期に進化の中で偶然,軟体性の動物の中に眼を持つ動物が出現した。眼をもつ動物は生存競争の中で有利な立場に立った。襲う側から見れば,獲物の位置,獲物の弱点などが的確にわかる。襲われる側にしても,天敵の接近をいち早く感知し,岩陰や泥の中に姿を隠すことができる。生存競争の激化の結果,襲われる生物は食べられないように防御用の殻やトゲ,逃走用の足・ひれなどを獲得した。こうして生物は,多様化したというのである―――。
 パーカー博士がこの説の証拠としてあげるのは,カンブリア大爆発で突如として出現する眼をもった動物たちの化石である。とくにカンブリア爆発の最初期に出現した「三葉虫」の存在だ。その眼を丹念に調べたところ,現代の動物の複眼とかわらない、高度な機能をもつ眼を当時すでにもっていたことがわかったという。

『光スイッチ説』には、なぜ、どのようにして「眼」が獲得されたのか、なぜ、どのように、泥中の有機物を食していた多細胞生物が同じ多細胞生物の捕食を始めたのかについては詳しく言及されていないが、どうやらカンブリア大爆発の背景には、『神経系統の発達』と『種間闘争の開始・激化』が深く関わっている可能性が高そうだ。

trackbacks

trackbackURL:

巨大な頭をもつ奇妙なエビのような生き物 from 深海と生物

5億500万年前の地層で発見されたフルディア・ビクトリアという古生物は、「カンブリア爆発」で知られるカンブリア紀の生き物です。 フルディア・ビクトリアの化...

comments

いつも楽しみに読ませていただいています。
初めて投稿します。

なんというグッドタイミングでしょうか。先ほど、会社の盆休みの読書で、アンドリュー・パーカー著「眼の誕生」を読み終えたばかりでした。とても面白かったです。お勧めです。

この古生代・カンブリア紀関係の書物は、私の読んだ順に、スティーブン・ジェイ・グールド著「ワンダフル・ライフ」→サイモン・コンウェイ・モリス著「カンブリア紀の怪物たち」→それとこれ。どれも当たり外れなく楽しめます。

さて、先カンブリアとカンブリアの境で、視覚が誕生した理由ですが。著書では、恒星理論や銀河での地球の位置から、太陽の光度が増加したか、大気・海水の組成変化により透明度が向上したのではないかと、世界中の学者がその理由を探っているようです。

ところで、カンブリア紀の硬組織の怪物たちですが、どれも体長が小さいですよね。上野の国立博物館、地球館・地下2階で、バージェス頁岩・澄江化石の実物が見れます。マルレラ・ハルキゲニア・オパビニアなんかも1~2cm程度で、こんなに小さいんだとびっくりしました。

  • みけ
  • 2007年08月15日 11:07

すいません。コメント訂正します。

×上野の国立博物館

○上野の国立科学博物館

です。カハクは面白いですよ。出張帰りにいつも立ち寄っています。もちろんリーピーターズ・パス持ってます!!

  • みけ
  • 2007年08月15日 11:14

みけさん、はじめまして。お盆の読書テーマとシンクロできてなによりです。

>太陽の光度が増加したか、大気・海水の組成変化により透明度が向上

なるほどー。「世界が明るくなった」から、視覚が有力な外界認識機能として登場した、という仮説ですね。かなり説得力高い気がします。神経細胞の進化はこのブログでも取り上げたいテーマなので、これからもいろいろ教えてください。

>カンブリア紀の硬組織の怪物たちですが、どれも体長が小さいですよね。

そうそう。一番ポピュラーなアノマロカリスが異常にデカイので意外な感じがするんですよね。魚も哺乳類もそうですが、多細胞生物がダイナミックに進化する時は、ごく小型のものからスタートする、というのが案外普遍的なスタイルなのかも知れません。

科博!もう少し早くコメント頂いてたら、このお盆に行ってたかも(笑)
関西在住なもので、今度まとまった時間が取れたら行って見ます。

  • s.tanaka
  • 2007年08月16日 18:05
comment form
comment form